ブラック企業に入ってしまったあと、退くための心を育てる

 

 

肌で感じるブラック

思い返すと、三ヶ月ともたなかった会社にはなにかしらの予感や違和感がありました。

面談のため訪問した際、事務所全体にどことなく重苦しい雰囲気が垂れ込め、挨拶をしても返事がない……。

だけど給料も悪くない。

何より面接なんて何度もしたくない。

もう決めてしまおうか。

こうして、なんとなく暗い雰囲気を感じることに注意を払わず入った会社は恐ろしいところでした。

毎日のように誰かが怒鳴られていました。

大声を出すのは課の上司でしたが、所長も部長も見て見ぬ振りです。

他の社員さんも、上司の意にそぐわない指導をして怒られるのが嫌なのでほとんど会話はありません。

息苦しさの中、わたしは心を閉ざしていきつつありましたが、あるときふと深呼吸をしてみました。

そのときに気づいたのです。

今までの自分の呼吸の浅さに。

世界の狭さを感じる

上司が外出している隙に酸素を身体中に行き渡らせたとき、会社を飛び出す勇気が出たわけではありませんが、窮屈な膜が緩んだような気がしたのです。

外に飛び出す勇気は出ませんでしたが、隣の人に話しかける勇気は湧きました。
上司さんって、厳しい方ですよね。

そう訊いたわたしに静かに頷いてくれ、小声で言い添えました。

だけどどうしようもない。

人事も役に立たない。

海外映画にでてくる売春宿が浮かびました。

貧しい村に住む女性たちが、今よりいい暮らしができる、などと言って連れてこられ、パスポートを取り上げられ、理由をつけて背負わされた借金を返すために狭い部屋に監禁されて客を取らされている場面です。

彼女たちの世界は狭くて不衛生な一部屋だけです。

自分はどうだろう?

実は、わたしはどこにでも行けます。

居場所も仕事も選べます。

不当な扱いを受けている彼女たちだって、ときとして逃げ出したり、勇気を振り絞って反抗したりできているのに、わたしはなにをしているんだろう?

人は、支配されるとどんどん世界が狭くなります。

まるで支配者がすべて正しく、その人間に従わなければいけないのだと信じ込まされる心理状態になってしまうのです。

世界の広さを感じる

わたしは、休み時間にできるだけ外に出るようにしました。

もう会社に戻りたくないという気持ちを深呼吸で吐き出し、それよりも今、外に出て明るい世界と繋がっているという事実を受け止めるようにしました。

外はとても暖かかったです。

ある日、退職したい旨を部長に伝えました。

わたしが退室したあとで会議室に上司が呼ばれ、所長も交えて話し合っていましたが、やがて上司が出てきたときに睨まれても怖いとは思いませんでした。

もう上司の拘束力の及ばないところに行けるのです。

井戸を出て行く蛙の気分でした。

まとめ

脱出するチャンス、そして次に向かう力を持つには、世界は広いのだと知る心をつくることが大切なのだと感じました。

自分の人生です。

他人や状況に潰されてしまってはもったいないです。